初心者のための Q&A

2007年08月20日

「三骨軽打法」の要諦(初心者のためのQ&A)

 

真島:
 両足を肩幅よりやや広めに開いて立ちます。踵と踵の角度は90度。親指にしっかりと力を込めます。
 顎を引いて視線を真っ直ぐに前に向け、上半身は絶対の柔軟。両腕は脱力したままダランと垂らし、親指と人差し指の先端を触れ合わせて輪を作ります。
 腰を右に軽く捻り、その勢いに乗じて両腕を振り子のようにブランと回し、右手の輪で仙骨、左手の輪で骨盤の右前部に軽く触れます。
 次に、腰を反対側に(左)に捻り、その反動を利用して、仙骨に触れた右腕を大きく跳ね上げ、円を描くように回しながら、首の後部まで持ってゆき、右手の輪で頸骨を叩きます。
 左腕は水平に回しながら身体の後ろに持って行き、左手の輪で仙骨を軽く叩きます。
 次に、頸骨を叩いた右手を円を描くように回しながら、身体の前まで持ってゆき、骨盤の左前部を軽く叩きます。
 次に、左手でもう一度仙骨を叩きます。 腰を反対側(右)に捻り、手を変えて同じ動作を行います。

 以上の動作を、左右交互に連続で5回以上繰り返します。

この型の要諦

 腕の力を一切使用せず、下半身から生じた惰性と反動により、上半身を巧みに操作するのが、この型の要諦かと思われます。
 腕の振り、特に、手を仙骨から首の後部まで跳ね上げ、そこから反対側の骨盤前部まで持ってくる動作は、腰を捻る際に生じる勢いを利用しますが、これまでの型と同様、その力の起点は足の親指です。
 親指が地面を踏む際に生じた反動を腰まで送り、その力で腰を捻り、腰の捻りで生じた惰性と反動を広背筋を通して三角筋まで送り、腕を大きく振り回します。

この型の注意点

●姿勢が崩れやすいので、中心姿勢を保つように注意しています。
●姿勢を保つため、視線は常に前方に向け、顔は絶対に動かしません。
●腕の力は一切使いません。全ての動作を腰で行います。
●腰を捻る際は、腹にも軽く力を入れるようにしています。
●所定の部位(頸骨・骨盤の左右前部・仙骨)は、軽く触れる程度に叩きます。

以上です。


佐々木:
 『肥田式強健術』は、わずか十型の動きで、600の骨格と200の筋肉を主体に、全身の隅々までの代謝を向上させて、「八大要件」を体現する鍛練法です。

 短時間、簡易的、合理的な型で効果を引き出せるのは、そこに生理・解剖・力学などの科学的理論と、人類史上希といわれる肥田春充先生の大悟徹底に至る経験値が存在するからです。

 この真伝の鍛錬は、ただ型を修得して繰り返して満足するのではなく、鍛錬を下支える、まことに緻密と感嘆するところの科学的理論を両立して学ぶことにあります。

 『肥田式強健術』を学んで効果が出せない!という学び人のほとんどは、「理論に無知」、または「リキミ過ぎ」のどちらかです。
 この鍛練は、後天的な無癖七癖を取り除き、運動、才能、筋力などの常識的運動観念をすべて抜いて、姿勢・呼吸・運動の三位一体に「腰腹同量力」形成から生じる『中心力』、または『丹田力』をもったところから出発します。

 特に、正しい「型」から効果を最大限に引き出すには、力は入れるのではなく、抜くことで生まれる加速力を使う!ことを理解します。


 最終回は、鍛錬型の最後に行われる「三骨軽打法」についてです。

 「三骨軽打法」は、調整運動とか整理体操とかいわれて、気合もないためもあり気抜け状態で気楽に実践されておりますが、どうしてどうして中身の濃い、味わいのある動作で構成されています。

 その「三骨軽打法」に内在している「味」とかは、末梢と中枢の神経系の働きと重要性を理解することで、な〜るほど!と納得ができます。

 「三骨軽打法」で軽打する局所は、丹田とも密接な腹腔神経の敏感な「左右の腸骨角」、仙骨神経の「仙骨」、胸部神経の「頸椎下部(首の付け根)」の神経が密な三箇所です。
 叩く力は、あくまで「軽く打つ」で、三骨いずれも力は入れずに、腰をブラリと振る、反動で腕をでんでん太鼓の要領で「コツン!」と軽打します。


 さて、今回、「簡易強健術」全型の質疑応答をおやりになられた「真島一郎」氏は、岡山の地にあって、長年に渡り熱烈な稽古を通された強健術鍛錬人です。

 鍛錬を文にすることは、世間に本当の実力を晒すことになり、ほとんどの方が嫌います。ですが、自らの実力を冷静に知ることは、どこを勘違いし、どこに間違いがあり、今後何を学べばよいのか? また、どの方向に進むべきか!などなどの、進歩向上と目的達成を確実にする行為でもあるのです。

 型を繰り返すことが鍛錬なら、型に合理性や効果を賦活する理論と共に、自らの鍛錬目的などが「合一しているか?誰に対しても自らの言葉で明確に表現出来得るか!」を、確実に、何時でも、出来なければなりません。

 真島さんも「簡易強健術」質疑の解説で、「何のために質疑を書くのか?」で悩み、途中で挫折しかかりましたが、苦労は人の為ならず!若いときの苦労は買ってもやれ!を想い出されて、無事乗り切って最後まで書ききりました。

 その努力により、真島さんは誰よりも簡易強健術という型の特長と、鍛練方法などを「体得」できたお駄賃を頂いたとおもいます。何となれば、一文の表現は、百語を知って、九十九を捨てることで成立する、からです。

 今回で「簡易強健術」質疑応答は終了です。
 真島さん、長期間にわたりご苦労様でした!


2007年8月20日 了雲



spb-0034 at 11:26|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年08月08日

「前腕筋の型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 
 

真島:
まずは中心姿勢を作ります。

 踵と踵を直角にして、両足を広めに開きます。
 息を吸いながら両腕を胸の前まで持って行き、手の甲同士をくっつけたら、呼く息に合わせてクルリと回転させ、そのまま下ろして太腿をパチンと叩きます。
 残りの呼気に合わせて姿勢を整えてゆきます。

 中心姿勢が極まったら、次に、肺底を使った吸気を行います。
 吸う息に合わせて顎を引き、後頭部を突き上げることで、背骨を引き伸ばし、さらに上体を弓なりに反らせてゆきます。
 同時に肩甲骨を寄せ、肩を下げながら両腕を軽く左右に開きます。
 手の甲は上。息を吸いきったら、手の甲を上に向けたまま、さらに息を吸い入れながら、両腕を両体側から一気に真上に上げ、同時に顔を真上に向けます。

 真上まできたら、左手の虎口(親指と人差し指の間)で軽く右手首を挟みます。
 この時は両手ともに掌が正面を向いています。
 漏気を行った後に、3秒間の呼吸停止。

 これは全型共通ですが、漏気を行う際は、逆腹式にならないように注意しています。
 逆腹式ではなく逆式を行うために、横隔膜は下圧させず、イキミながら腰腹に力を入れつつ、そのままの位置で緊張させます。また、呼気とともにヘソから上の力を抜きます。

 この後の、本動作から気合に至るまでの呼吸筋の使い方も、同様だと思われます。

 3秒たったら、加速度的な呼気に合わせて膝を曲げながら、股関節を深く曲げて行き、反らしていた上半身を起こして、最後に顔を真正面に向けます。
 中心姿勢が極まり、腰腹が十分に充実したら、気合をかけます。
 気合をかける瞬間に膝を抜き、身体を重力に任せて垂直に落とします。下脚は地面に対して垂直。

 上記の動きに合わせ、円軌道を描きながら両腕を前に下ろしてゆきます。
 この時に右集約拳は内転させながら、手首を内側に曲げてゆき、掌を自分の方に向けます。
 瞬息的気合とともに両手を下腹部の前まで降ろしたら、右腕を引くと同時に、左手の虎口(親指と人差し指の間)で右の手首を強く押し、拮抗する力で右腕の前腕筋に緊張を与えます。
 このままの状態で3〜7秒間の停止。

 終わったら膝を伸ばし、姿勢と呼吸を整えて、同じ動作を腕を代えて行います。

この型の要諦

 気合をかける瞬間に集約拳を強く握り、手首を内側にしっかりと折り曲げると同時に、肩に向かって引く力と、反対側の手で手首を押す力を拮抗させることで、前腕筋に強い緊張を与えます。

この型の注意点

● 肩に力が入りやすいので、肩甲骨を寄せ、肩をしっかりと下げます。
● 手首を内側に曲げると、集約拳の握りが甘くなりやすいでの、小指と薬指をしっかりと握りこみます。
● 前に降ろした両腕は、肩から地面に対して45度の角度を保つようにしています。
● 集約拳に添える方の手は、親指、人差し指側の甲全体を反対側の腕の内側に密着させます。

以上です。


佐々木:
 人の骨格と筋肉は、「引く力」の使い方よりも、「押し出す動作」が強い力を発揮します。
 相撲でも「引くよりも押せ!」と教えられるのも、一見すると弦を引く力で行う弓なども、左手の弓本体を持っている押し手が重要なのです。

 前腕筋型斜腹筋型で、頭上で組み合わせた両腕を円運動のように身体の正面に加速的に降下させる動きも、肩や上半身、さらには腕にもまったく力は入れず、押し出すつもりで下ろせば、背中が使えて、極めて自然に、力学的に加速が増して、「腹にドカッ!」とくるところの豪快な動作に繋がります。
 今回紹介している「前腕筋型」は、前腕の鍛錬をする主体の手が極まるときに小さな一円を渦巻きの様にえがいてキュと締め込み、主手の手首に添えている補助手は、押し込むように締め込みます。
 この極めにおける時の締め込みこそ、腰腹同量正中心の鍛錬で行っているか、健康法なのかを分ける所作であります。
 「中心力10、部分力9」の力は、腰腹が極まって、そこから生じた中心力が鍛錬部分に及んで9の力が形成されるというように出来ているか、どうか、ということです。

 それから、集約拳のことで極めて重要なことがあります。
 集約拳のことは意外に知られておらず、また誤解されて解釈されていることもあり、この鍛錬の「正しい普及」のために公開します。

 集約拳は、古流体術の「当て身」という急所攻撃の拳を、腰腹鍛錬に活用したものです。
 空手などの拳の使い方は、手の平を上に向けて、突く時に拳を外から内に捻りながら、甲を上に向け突き出します。ボクシングも拇側を上にして構え、拳を突き出すときに、外から内に捻りながら甲を上にして突き出します。
 対して集約拳は、それらと反対の「内側から外側」に捻り込みをして、当て身という拳(集約拳)を形成します。
 この動きの違いは、拳の何処を使って当てるのか!ということにあります。
 さらに、空手やボクシングなどの外から内に巻き込む動きの格闘技が、突く、打つ、蹴る、という行為だけなのに対して、裡から外に捻り込んでの当て身を形成する格闘技は、組む、掴む、押さえる、そして投げる、締める、捕らえるなど、複雑な動作を多用する様に組まれています。

 その多用な動作の中で、人体の要の腰を安定させる!は必須で、そのために上体や腕を突っ張らない、伸び上がらせないで「据えておく」のです。
 それが理解できれば、「当て身」という集約拳の小指、薬指を、生理・解剖学上からも合理的にきつく締めることが出来、形成がおもいのほかに自然であることが理解できるのです。
 小指側の締めは、重心の安定や腰と直結しているということが体得できると、武道ばかりか、ゴルフでも何でも、得物を振り回す運動は比較的容易に上達できます。

 小指の締めと言えば、以前、武道誌『秘伝』に連載した際に「中心力抜刀術」を紹介し、私自身が写真入りで紹介した「刀の握り方」で、苦情をもらったことがありました。
 九州在住で宮本武蔵創始の「二天一流」の師範が、私が写真で紹介した刀の握りを間違っていると、正しい握りをその方が写真入りで紹介しておりました。
 私が紹介した刀の握りが「人差し指と中指で引っ掛けるようにして、薬指、小指は柄から離して握っていた」ことに対して、正しい握りは「小指をキュッと堅く、柄に巻き付けるようにする」のだと紹介していました。

 薬指と小指を柄にキュッと締め込むようにシッカリ握る握り方でなければ、刀で人は切れません。ですから、二天一流の師範の言われることはもっともなことです。
 しかしながら、それは「斬る」、「突く」その瞬間にだけ行う動作なのです。
 本当に実践を経験するか、実践を想定した鍛錬をすると、薬指や小指を締めっぱなしにした動作は上半身が堅くなり、刀や棒なども萎縮して延びが無くなり、利きが悪くなることが身体で判ります。
 斬る、突く瞬間までは薬指と小指は力を入れず、人差し指や中指で軽く持ち、「薬指と小指は遊ばせておく」ことが必要なのです。

 特に中心抜刀術使用の刀は、一般に見られる「打刀」という形状ではなく、二尺八寸以上の「太刀」といわれる刀です。
 これは長くて重量のある刀で、普通の方では刀を振り回すどころか、刀に振り回されてしまいます。
 腰を入れて、腰で抜刀するために、上半身と腕には力を入れないで、反動を生じるように「切っ先を走らせる抜刀」のためにこそ、極めの瞬間までは「薬指と小指の遊ばせておく」のです。
 このことは試し切りをされても、ゴルフでも同じで、薬指と小指は柄に触れておく程度で、当たる瞬間にキュッと握り込むのです。

 流儀と呼ばれるもののほとんどが、平和の元禄以後に体系化され経てきています。
刀も試し切りなどをしないと形式に流れ、理屈優先におちいってしまいます。
 ゴルフでも、インパクトの瞬間に薬指、小指を締めるのか、それ以前のスイングから締めておくのかで、シングルさんとヘタッピーとの境界が生じます。
 現実には、武道も、スポーツも、何もかもが、ほんのチョット、紙一重の微妙を理解し、体得し、または習えたかどうかで、才のあり方が極まるのですね。


2007年8月8日



spb-0034 at 18:26|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年07月30日

「上腕二頭筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 

真島:
まずは中心姿勢を極めます。

 踵と踵を直角にして、両足を広めに開きます。
 次に、親指を支点に、踵を内側に絞り込むことで中殿筋を充実させ、腰椎の4番、5番の間を反折させます。
 以前に絹川さんが書いておられたように、力学的に表現させていただくなら、踵が力点、親指が支点、腰椎4番、5番の間が作用点に相当すると思われます。

 このとき、腰の反折を阻害しないように、股関節を緩めることが肝要です。

 息を吸いながら両腕を胸の前まで持ってゆき、手の甲同士をくっつけたら、呼く息に合わせてクルリと回転させ、そのまま下ろして太腿をパチンと叩きます。
 残りの呼気に合わせて姿勢を整えます。

 中心姿勢が極まったら、次に、吸気を行いますが、酸素摂取量を最大にするために「胸郭」、とりわけ肺胞が最も多く密集している「肺底部」を活用します。
 そのためには腰を反折させて横隔膜を下に引き、さらに肩甲骨を寄せて肩を下げることで、肺底部を下方向、前後左右に大きく広げます。

 このような呼吸筋をフルに使った吸気を行いながら、顎を引いて背骨を引き伸ばし、上体を大きく反らせてゆきます。
 両腕は甲を上に向けたまま、軽く左右に開きます。
 この時に背骨が埋没するくらいに肩甲骨を寄せ、肩を下げます。
 息を吸いきったら、さらに限界ギリギリまで吸い入れながら、手の甲を上に向けたまま、両腕を両体側から一気に真上に上げ、同時に顔を真上に向けます。

 右手の甲を左掌にピタリと付け、ここで漏気を行います。漏気の際は腰腹に力を込めつつ、ヘソから上の力を抜くために息を吐きます。
 漏気が終わったら、3秒間の呼吸停止。

 次に、加速度的な呼気に合わせて膝をやや曲げながら、股関節を深く曲げてゆき、反らしていた上半身を起こして、最後に顔を真正面に向けます。
 中心姿勢が極まり、腰腹が十分に充実したら、渾身の気合を搾り出します。
 気合をかける瞬間に膝を抜き、身体を重力に任せて垂直に落とします。下脚は地面に対して垂直。

 これら一連の動作と同時に、右手の甲を左掌にくっつけたまま、クルリと回転させ、自分のヘソに向かって肘打ちを食らわすように、右腕を身体の前まで下ろします。
 この時に集約拳を握り込んでゆきます。
 極めの際には気合とともに、左の掌で右手集約拳の小指側を強く押し、「上腕二頭筋」の緊張を助けます。
 このまま3〜7秒間の停止。

 終わったら姿勢と呼吸を整え、腕を代えて同じ動作を行います。

この型の要諦

 まず最初に片腕(鍛錬側)のみで動作を行い、上腕二頭筋に十分な緊張を与えることが可能になって後、両手で動作を行う様に指導させていただいています。

この型の注意点

● 極めの際に集約拳の握りが甘くなりやすいので、特に小指を強く握りこみます。
● 鍛錬する側の腕は、肘をヘソに向け、前腕部、上腕部ともに身体に密着させます。
● 両腕の角度は直角にします。

以上です。


佐々木:
 上腕二頭筋型は、筋肉の象徴ともいえる「力瘤」ちからこぶを形成する鍛練法です。

 ですが、『肥田式強健術』という運動は、筋肉のみを造るばかりではありません。
 東洋に古から伝承されてきた心身活性の秘庫「丹田」の開発を発展させ、「腰腹同量」という「形成した丹田をさまざまに活用する」ことを主体に練り込み、「進化の過程で獲得した裡に眠る潜在力」をも活性化します。
 そして体系がシンプルで無駄がナク、場所をとらず、道具が入らず、服装が自由という運動法です。
 さらに、生理、解剖、力学の科学を基盤に組み立てられているので、老若男女の区別なく学べ、姿勢を注意しながら学ぶことで全身の骨格の歪みを直し、呼吸筋の自由な伸縮で内臓の虚弱や病気の治療を行うなど、健康法として、予防医学的方法として、さらには治療法としても効果的で非常に勝れた心身運動法でもあります。

 さて、この鍛錬型は、この「上腕二頭筋型」から、それまでの鍛錬型には無い動作が加わります。その動作は左右の手で力瘤を形成する際、引く動き押す動きを行い、一筋の緊張を図るようにすることです。

 力瘤を形成する方の腕は、頭上に上げた腕を呼気と共に下ろし、動作の最後である「上腕二頭筋型」を形成する際に肘を巻き込むように身体に密着させ、さらに前腕と上腕を密着させるように、一筋の緊張を図ります。
 もう一方の手は、力瘤を形成する手を押すように、抱き込むようにして、前腕と上腕の密着を促すように力瘤を強力にする手助けをします。
 この手助けをする補助手の動きは、手には全く力を入れず、力瘤を形成する腕の動きに随うようにキュッと自然に決めます。
 力瘤を形成する一筋の緊張を行う手と補助手の動きは、上体の柔軟があれば一体に、自然にできます。

 「心力10」の力、一筋の緊張という「部分力9」の力加減が出来ない初心者では、手や腕の細部は省略してもかまいません。
 鍛錬は継続できてこそ効果も、面白さも、素晴らしさも、奥の深さも体得できるようになります。ですから、先ずは無理なく、無駄なく、学ぶことが大切なのだ!と、理解されてください。


2007年7月30日



spb-0034 at 16:58|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年07月19日

「上腕三頭筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 

真島:
 準備姿勢から予備動作までは、外斜腹筋と同様です。

 両手が真上に来たら、そのまま左右の上腕を顎の前まで持って来て交差させます。
 右腕が下で左腕が上。肘の角度は直角で掌は開いたまま上に向けます。
 ここで漏気を行い、3秒間の呼吸停止。

 次に、加速度的な呼気に合わせて股関節を深く切りつつ、お尻を巻き上げ、反らしていた上半身を徐々に起こして行って、最後に顔を真正面に向けます。
 その動作に合わせて右手5指で左腕の上腕三頭筋を掴み、引っ張ります。
 同時に左手で集約拳を握り、前腕を垂直に立てて行きます。

 息をほぼ吐き切ったら気合をかけて膝を抜き、身体をストンと垂直に落とします。
 同時に右手5指で掴んだ上腕三頭筋をさらに強く引っぱり、左手の集約拳を肩口に向かって引き付けます。

 このまま3秒〜5秒間停止。

 終わったら両腕を解いて膝を伸ばし、気を抜かない様に注意しながら準備姿勢に戻ります。
 姿勢と呼吸を整えたら、左右の腕を変えて同じ動作を行います。

この型の要諦

 上腕を身体にピッタリと密着させ、脇を締めて両肘を寄せることで、上半身の力を丹田にまとめます。
 左右の肩から上腕、肘を貫く力線を辺として、丹田を頂点とする逆三角形を形成する様な感じです。

この型の注意点

● 三頭筋を掴むときは、出来るだけ深く掴む。
● 両腕の上腕部は出来る限り身体に密着させる。
● 両腕の肘は必ずヘソの方向に向ける。
● 肩が上がったり背中が丸まらない様に注意する。
● 三頭筋を掴んで引っ張る際は、特に小指に力を入れる。

以上です。


佐々木:
 「上腕三頭筋」を見ると鍛錬の度合いが判ります。
 それは、「上腕三頭筋」が他の筋肉にもまして弛みやすく整えにくい!ということが言えるからです。
 日常の動作で、腕を伸ばして三頭筋がキュッと締まっていれば、八大要件の「筋肉の発達」は、先ずは合格です。

 「三頭筋」を鍛錬する型では「簡易強健術」と「気合応用強健術」がありますが、共に要領が見えにくく、決まりにくい動作で構成されています。ですから、簡易・気合両方の上腕三頭筋型が正確にできれば、八大要件は体現できると言えます。

 『肥田式強健術』という鍛練は、最初は「代謝」を高めるために最大酸素摂取量の亢進に務めます。次に呼吸を練り込んで「呼吸力」を形成し、その呼吸力での鍛錬での型を学び、練り込みます。
 さらに「呼吸力」を磨き込んで、「武道の精華たる気合」に昇華させ、さらに気合を「横隔膜のその場での大緊張」で鍛錬できるよう、緻密なコントロールがきくように練り込むのです。

 「武道の精華たる気合」の「精華」とはどのような意味か?と聞かれることもありますので書いておきます。
 「精華」を英語にすると「エッセンス」という意味で、本質とも言われます。「精華」即ち「武道そのもの」だということです。
 では「武道とは何か?」というと・・・!、ご自分で考えてください。春秋社刊『剣と禅(大森曹玄著)』などが解りやすく、参考になると思います。

 『肥田式強健術』の型は誰でも覚えられ、それなりにできますが、出来ないのが「気合」です。この鍛練を本格的に学びたい、効果を体現したいと願う方は「武道の精華たる気合」の欠片でも結構ですから、知っておかないと先には進めません。
 この鍛練をどの位長くやっているか?などの経験や年功などは、役に立たないばかりか、ほとんどが癖丸出しで参考にもなりません。
 気合で型を鍛錬しているのと、気合無き型では効果も、威力も、迫力も、次元が異なります。

 しかし、「武道の精華」というエッセンスを学ぶのですから、基本を十分に体得しておかなければ到達できません。
 迷ったら「初心に返る!」は、無駄なことでも、恥ずかしいことでもありません。
 上級者でも、ある時には達人でも迷うことはあるのですから、その時には初心に返っているのです。「精華」を体得したかったら、常に初心に返れるように保つのです。
 それから、「初心」という「基本」が構築していないと、帰るべき場所がありません。
 鍛錬上の帰るべきふる里を大切にすることは、学びの哲学、原点を確立した!ということなのです。
 これあっての応用自在となり、「万芸の泉」ともなるのです。


2007年7月17日



spb-0034 at 16:08|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年07月09日

「三角筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 
 
真島:
両足を出来る限り広めに開き、踵と踵を直角にして立ちます。
その体勢で中心姿勢を作ります。

次に、吸気を行いつつ両手(甲が上)を挙げて行き、胸の前で「クル」と回転させ、
呼気と共に両脚の太ももにパタンと掌を落とします。
吐く息に合わせて身体の各部を微調整しながら、更に厳密に中心姿勢を極めます。

両腕を太腿の横に自然に垂らし、左手は親指と人差し指で太腿を軽く挟みます。
両手共に掌の向きは後方。腰胸式の吸気に合わせて顎を上げて行き、天を仰ぐ様に顔を真上に向けます。
同時に、側方から大きく半円を描きながら右腕を挙げて行き、指先で天を突き刺す様に、地面と垂直の位置まで来たら止めます。
右掌は徐々に返しながら内側に向けます。

ここで漏気をして3秒間の停止。漏気に合わせて軽く膝を曲げ、腰を垂直に落とします。

3秒間の停止の後、息を加速度的に吐きつつ顔を正面に戻して行きます。
頭上に挙げた右手は、止めた位置から更に完全な円を描く様に、右太腿の位置まで持って来ます。
右脚の内腿を軽く「パチン」と叩いた後、指先を自分の方に向け、小指全体を太腿の上に乗せます。
左の腕もピンと伸ばし、太腿をしっかりと掴みます。

その体勢で、気合と共に更に腰を深く落とし、右腕を瞬間的に強く捻ります。そして、3秒間の停止。

終わったら姿勢を整え、腕を変えて同じ動作を行います。

この型の要諦

両手を太腿の上にしっかりと固定し、腰腹を極める際の瞬発力を利用して、一方の腕を瞬間的に強く捻り、三角筋に強い緊張を与えます。

この型の注意点

● 両腕は終始伸ばしたままですが、特に極めの動作の際、両肘を思い切り伸ばします。
● 腕を捻る時に、身体も一緒に捻れやすいので注意する。身体は真正面を向いたまま。
身体が前のめりになりやすいので、顎を強く引き、頭の重みをしっかりと腰に乗せます。

以上です。


佐々木:
この鍛練で獲得するところの『八大要件』の内、「筋肉の発達」有酸素運動と無酸素運動を生理の自然に随順して、無理なくおこなうように構成されています。
鍛錬は「腰腹」を主体に、足腰を鍛え上げながら、身体各部分の主要な「一筋」を発達させ、「体格の均整」、「姿勢の調和」を図れるように組織されています。

ところで、「肩肘を張らない!」、「肩をあげない!」、「肩を怒らせない!」は、人生円滑、武道・芸事上達の秘訣ですが、そのためにも「簡易強健術」の『三角筋』を学ばれるとよいのです。

一般に見られる筋力トレーニングが、腕を曲げて三角筋を収縮させる、肩を張る、怒らせる動作であるのに対し、この鍛練の『三角筋』は、姿勢を維持し、鍛錬側の肘と腕をシッカリと伸ばして、三角筋を引き延ばすように拡張させるという、独特の筋トレ方式をとっています。
この方式による筋トレの効果は、「弛めばバターの如く」、「締まれば鋼鉄の如し」という筋肉を造り上げると共に、武道・職能などに応用自在、極めて疲労しにくい筋肉組織に更改します。

その鍛錬には、語る以前に横たわる、この鍛錬の暗黙の効果であり目的でもある「最大酸素摂取量」を増大させて新陳代謝を旺盛にする、という特徴があげられます。だからこそ、腕を曲げて三角筋を収縮させるのではなく、腕を伸ばして三角筋を進展させる筋トレ方法をとるのです。
世間に見られるゴツゴツした鎧を纏った筋肉を創るのではなく、「最大酸素摂取量は筋肉で増進される」ということを押さえての『筋肉の発達』であることを知るべきです。

『肥田式強健術』を構成する「型」は、すべてが明確な目的を持っています。強健術は八大要件を獲得するのが目的!ということを、頭と心に刻み込んでの鍛錬をと思います。


2007年7月9日



spb-0034 at 16:31|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年07月03日

「大胸筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 

真島:
まず、両足を肩幅に開いて立ちます。踵と踵の角度は直角。
次に、拇指丘を支点に片方の足を90度回転させ、両足を平行にします。
更に、両足に対して45度になるまで身体を捻ります。図解すると以下の通りです。

\両足/ → \両足\ → \顔尻\

その体勢で中心姿勢を作ります。
次に、吸気を行いつつ両手(甲が上)を挙げて行き、胸の前で「クルッ」と回転させ、呼気と共に両脚の太ももにパタンと掌を落とします。
吐く息に合わせて身体の各部を微調整しながら、更に厳密に中心姿勢を極めて行きます。ここまでが準備姿勢です。

中心姿勢が決まったら、腰の反折で横隔膜を下に引きつつ息を吸い込み、肺底を前後左右に大きく広げます。
ほぼ吸い切ったら、腰の反折と肩甲骨を寄せる力でもって、両腕を背後から大きく円を描く様に回しながら、更に胸郭を広げて息を吸い込んで行きます。

両手が真上にきたら、そのまま両腕と共に身体を前に倒し、約45度の角度まできたら身体は止めますが、両腕は更に回して行き、限界まで上げたら止めて漏気。
そのままの体勢で3秒間の停止を行います。
この体勢をとっている間は、両腕は内捻させる様に絞り、両手を広げます。この時は特に、小指に張りを持たせます。視線は後ろ足の爪先に向けます。

3秒間の停止の後、呼気と共に、まず顔から先に起こし、天を仰ぐ様に顔を真上に向けます。
顔に先導されるように上体が起き、更に両手を向かい合わせにしながら、大きく円を描いて両腕を挙げて行きます。
両手が真上にきたら集約拳を握ります。両手の位置は肩幅。

集約拳を握ったら、気合と共に一気に腰を落とし、両膝を曲げます。
それと同時に楕円軌道を描くように、集約拳を胸の位置まで落とします。この体勢のまま3秒以上停止。

この型の要諦

予備動作から本動作、更に最後の極めに至るまで、胸郭(特に肺底)を限界ギリギリまで広げ、横隔膜を前後左右に思い切り拡張しますが、そのためには出来る限り大きくノビノビと行います。

この型の注意点

● 両足を肩幅に開いて立つ場合、外踝の位置を肩幅に合わせます。
● 気合をかけて腰を落とすまで、両脚は突っ張らない程度に伸ばしたまま。
● 股関節が緩み、力が下腹部に集中する様に、やや内股気味にします。
● 準備姿勢〜予備動作〜本動作〜極めるに至るまで、股関節は常に虚。
● 身体を倒す時、起こす時の屈曲点は股関節。
● 気合いと共に膝を落とす際は、更に内股し、股関節を深く曲げる。
● 本動作は、腰の反折に伴って肩甲骨を強く寄せ、胸を天に向かって突き上げる様にし、その結果として両手が勢いよく落ちてくる様に行う。

以上です。


佐々木:
野外でおこなう鍛錬で強健術本来の八大要件体現のために、まず準備運動として取り掛かるのが「呼吸筋群操練」としての運動です。

立式での呼吸筋群操練に最も優れているのが簡易強健術の「腓腹筋型」「斜腹筋型」「大胸筋型」の三種類です。
簡易強健術は別名を「呼吸応用修練法」とも言い、呼吸力で鍛錬し、呼吸力を練り込み強化向上する目的で学びます。
私が予備運動として実践している三種類の型の中で、「大胸筋型」は姿勢を整え、胸郭を拡張して、横隔膜の展開伸縮に勝れた効果が誘起できる鍛練法であると言えます。

「肥田式強健術」には、入門の呼吸法として「逆腹式」と「逆式」があります。さらに「横隔膜呼吸」と「肺底呼吸」の方法があります。さらにさらに進んで、『聖中心道』鍛錬では「横隔膜のその場での大緊張」を体得してまいります。

型鍛練でおこなう息を吸うときには「腰胸式」で、息を吐くときには「腰腹式」、でという呼吸は「逆式」に入ります。この鍛練における「逆式」は、「腰を使っての呼吸筋群伸縮法」です。「逆式」での鍛錬は初心者ではできませんから、あせらずに一歩一歩体得してまいります。
この鍛錬は「腰を反らせる姿勢をとる!」との誤解があって、「腰椎と仙骨との接合点の反折」と「腰椎を反らせる」ことを間違えて、力任せに行っている方を度々目にします。
実際に腰椎を反らせても呼吸筋群は動かせませんし、「逆式」もできません。
力任せの腰の反折は軽妙さを失うだけです。力任せに反らせれば腰痛、背中痛などの疾患が発症します。特に「腰椎三番から上部」は反らせたり、固くしたりは絶対に禁物であると知っておくべきです。

腰椎を反らせることではなく、「腰椎と仙骨接合部の反折」との違いを理解し、体得する鍛錬として勝れているのが「大胸筋型」であると言えます。
「大胸筋型」は大胸筋という胸厚を形成する筋肉を鍛錬する目的と、その裡なる肋骨組織を動かしている「肋間筋」に代表される胸郭を上下左右に拡張する二大目的があります。
特に「大胸筋型」が勝れているのは、肋骨組織で守られている心臓や肺臓という「柔な臓器」に、生理的にも力学的にも、何らのプレッシャーを毛ほども懸けない!という動きで鍛錬が組織されているところです。鍛錬すればするほど「本当によく研究されて組まれているなぁ〜!」と感嘆します。

『腰腹同量正中心の鍛錬』に入る前の準備として、「大胸筋型」など三種類の簡易強健術から抜き出した型を鍛錬すると、数回やっただけで頭がスッキリ、背骨がシャッキリ、足腰が軽くなり、全身が体重を感じない軽快さと爽快感とに変身します。
「大胸筋型」は「斜腹筋型」以上に深く息を吸える呼吸筋の使い方をしますから、そこらあたりのコツを掴むとよろしいと思います。


2007年7月3日



spb-0034 at 14:22|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年06月26日

「広背筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 
 
真島:
両足を大きく広げ、平行にして立ちます。
次に、吸気に合わせて顔を真上に向けつつ、 両腕を真っ直ぐに伸ばしたまま身体側から挙上。
右手で左手の親指を一瞬だけ掴んだ刹那、息を止めたまま両腕を背中側に下ろして行き、右手で左手の親指をしっかりと掴みます。
両掌は上向き。その状態で漏気を行い、3秒間の呼吸停止。
3秒間の呼吸停止の後、加速度的な呼気に合わせ、尻を後ろに突き出す様にしながら、上体を地面と平行になるまで前に倒して行きます。
背後の両腕は真っ直ぐに伸ばしたまま、円を描くように起こして行き、極めの瞬間に気合と共に勢いよく跳ね上げます。頭は前に倒します。

この型の要諦

本運動では上体を勢いよく倒し、地面と平行の位置でピタリと止めることによって生じた惰性の力と、気合による瞬発力とで、背後の腕を急激に跳ね上げ、頭を胸側に倒し、広背筋を緊張させると思われます。

この型の注意点

● 上体を倒す際の屈曲部位は股関節です。
● 尻を突き出し、腰を反折させる力をもって上体を倒します。
● 極めの際には背後の両腕は地面と垂直、もしくはさらに頭側に倒し、顎を胸につける様にしながら、頭を十分に倒します。
● この運動は広背筋を引き伸ばすため、背中は若干丸くなりますが、腰は絶対に丸くならない様に注意致します。

以上です。


佐々木:
鍛錬に入る前に、しっかりとした『中心姿勢』を極めてから入るようにします。
「八大要件」を体現しようとおもうのならば、一気呵成の加速力での鍛錬となりますので、動作の途中で姿勢を直すとか、動作を合わせるなどは不可能だからです。
特に『武道の精華たる気合』をマスターし、真伝の「腰腹同量正中心の鍛錬」に入門するのなら、絶対に厳守すべきことが「鍛錬は中心姿勢からはいり、中心姿勢を崩さずに動作し、中心姿勢のママ極める!」ということです。
「中心姿勢」は肥田式強健術『型』の基盤であり、要とも言うべきことだからです。

鍛錬の基本は姿勢・動作・呼吸の三要諦それぞれにありますが、この三要諦の基礎をガッチリと構築しないと、鍛錬ではなく「習慣の癖丸出しの型」、春充先生に「似せた動作」をそれっぽく演じることとなります。
「腰腹同量正中心の鍛錬」を称して、春充先生は『万芸の泉』と申されました。
「万芸の泉」に昇華できるか、クソの役にも立たない「癖丸出しの演技」で終わるかは、基礎の三要諦をガッチリと掴み、何らの癖も習慣性も、タタキダシタ鍛錬ができているか否かと知るべきです。

肥田式強健術を構成する体系の中でも、『簡易強健術』はほとんどの型が足を固定して鍛錬するので、「中心姿勢の要諦を体得しやすい」構成であると言えます。さらに、「中心姿勢の体得」と「姿勢と動作と呼吸の三位一体での鍛錬」を体得するということも鍛錬の目的となります。
目的が明確であればあるほど、目的は入手しやすい!のですよ。学びごとにはコツがあるからです。

さて、「広背筋型」鍛錬は、後ろ手に回した両手を、股関節を軸として体幹部を勢いよく前傾させ、その勢いを利用して首の力を抜き、同時に後ろ手の両手を跳ね上げる豪快な動作で構成されています。
姿勢・動作・呼吸の細部にわたっては、それぞれに注意点がありますが、何よりも重要なのが「動作は一気呵成に豪快にバサッ!と極める」ことです。勢いを重視するのは上半身を傾ける型の特長で、勢いが弛むと「腰腹同量力が纏まらない」からです。
「広背筋型」の鍛錬は、他の型以上に「加速が付加される」ことを学ぶのですから、その型の特長を十全に活かしてください。

この対談を企画された真島さんも、花ある鍛錬人であります。
基礎も構築できていない初心者にも判りやすく学びやすい指導を心懸け、研究に怠らない情熱の持ち主です。
真島さんは「肥田式強健術」の普及から、地元岡山で同好会を立ち上げられています。ご近在の方々は、是非にの見学や質疑に教室をのぞかれてみてください。ビックリするほど丁寧で親切に対応してくれますよ!


2007年6月26日



spb-0034 at 12:49|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年05月30日

「外斜腹筋型」の要諦−3(初心者のためのQ&A)

 

真島:
両手を組み合わせ頭上に両掌を上に向け、3秒間の呼吸停止。
その後、腰腹部の緊張を意識し、加速度的な呼気に合わせて膝をやや曲げながら、股関節をさらに深く切って行きます。
反らしていた上半身を起こして行き、最後に顔が真正面を向きます。
できるだけ手は頭上に挙げたそのままで、ほぼ息を吐き切ったら、さらに残りの息を全て下腹部にぶち込むように、腹声での渾身の気合を掛けます。
気合をかける瞬間に膝を抜き、身体を垂直にストンと落とします。下脚は地面に対して垂直。
挙げていた両腕はピンと伸ばしたまま、半円を描きながら気合と共に一気に下ろします。両手の下ろしは上半身の極めより若干遅くして最後になります。
手の位置は小指が臍親指が丹田部。そのまま3〜5秒間呼吸停止します。

注意点している点

・身体を垂直に落とす時は、気合によって生じる瞬発力で一気呵成に。
・但し、必ず顎を引いて頭の位置を正確に極め、重心を支持底面の中央にキチンとまとめてから行います。
・最後の停止時の手の位置は、掌の小指が臍の前にくる様にしています。

要諦としている点

・上半身を起こす際は、腰腹で“ポン”と放り投げる様な感じで行います。
・ムチがしなう様に、腰椎から頚椎、頭に向けて動きを連動させて行きます。
・身体を落とす際には、膝は左右に開いて行きます。そうすることによって、中殿筋に更なる弾力が生じます。
・極めの姿勢の時に股関節を深く屈曲し、大腿部が地面と平行になるくらいまで腰を落とすことによって、大腿骨の付け根から骨盤、腰椎に繋がる腸腰筋(腸骨筋、大腿筋)が強く引っ張られ、さらに腰が深く反折されます。
・腰が深く反折されることで恥骨が強く引かれ、それに繋がる腹直筋と外斜腹筋が緊張します。さらに、真っ直ぐに伸ばした両腕を、頭上から臍の位置まで、一気に叩きつける様に引き下ろすことで、外斜腹筋の更なる緊張を助けます。
・身体を垂直に落下させることにより、上から落ちてくる上半身の重みと、下から跳ね返ってくる反発力が腰腹部で衝突します。

最後のまとめ

準備姿勢から最後の極めに至るまで、全ての動作は腰腹部から起動しますが、その力の起点は両足の親指です。
また、肥田式独特の腰の反折は、足、膝による中殿筋の操作とともに、股関節の屈曲による腸腰筋の操作によってもなされる様に思われます。
特に、極めの最後に腰を深く落とす動作は、これらの筋肉の操作を体得しやすい様に思われます。

以上です。


佐々木:
斜腹筋鍛錬で最も注意しなければならないことは、「力の入れ抜き」を動作や姿勢で行うのではなく「呼吸でやる!」ことを体得することです。
武道や芸や職能での「呼吸が手に入った!」というのは、「呼吸で手加減が!」、「呼吸を乱さずにやり遂げることが!」、「呼吸で緊張、弛緩の調整が!」、「呼吸で・・・」できたということです。

筋肉の動きは、生じた力や運動を次の筋肉に送る「連動性」にあります。
筋肉の特長である「連動性」を知るならば、動作での脱力や緊張、姿勢での脱力や緊張、精神での脱力や緊張、気分での脱力や緊張など絶対に行いません。それは脱力や緊張が呼吸以外ではピッタリといかずに、筋肉の連動性を大なり小なり阻害するからに他なりません。

外斜腹筋は「ひとの特性である直立二足歩行」を正す鍛錬でもあります。
巷に多く見られる猫背の猿人類姿勢から真人間の姿勢に!、虚勢での尊大ぶった後屈姿勢を真人間の姿勢へ、21世紀の彼方へ視線を透徹した意気揚々たる丹識を内在した発展途上人の姿勢造りこそ、呼吸応用強健術の斜腹筋鍛錬なのです。
この斜腹筋型鍛錬は、剣道の打ち込みとして、柔道の打ち込みとして、ボクシングのサンドバックやパンチングボール、はたまた縄跳び、シャドーボクシング同様の足腰腹の基礎創造の中心に位置します。
日本が世界に誇る人類の文化遺産たる「真の丹田形成法」の核の型こそ『斜腹筋』です。
ヤッテヤッテやり抜く!こと。
カナワズンバ、武道の精華たる気合は体得できません。
論より鍛錬!斜腹筋型鍛錬だけはこれでよい!などということはありえません。ということで、熱烈なるお稽古をどうぞ・・・。


2007年5月30日



spb-0034 at 12:03|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年05月17日

「外斜腹筋型」の要諦−2(初心者のためのQ&A)

 

真島:
 次は準備動作です。

 胸に息を吸い入れながら腰を反折させ、肩甲骨を寄せつつ肩を下げます。同時に顎を引きながら顔を真上に向け、上体を大きく反らせます。両腕は掌を上に向け、軽く左右に開きます。一連の動作は吸気に合わせ、すべて同時に行います。
 息を吸いきったら、両腕を両体側から一気に真上に上げます。
 真上に来た両手をパチンと叩いた刹那、即座に十指を組み合わせ、そのままくるりと返して掌を真上に向け、両腕を思い切り伸ばします。
 胸に吸い込んだ息を腹に落としつつ、軽く漏気。そのままの体勢で3秒間停止します。

吸気(腰胸式)の要諦

・腰の反折で横隔膜を起始部に向かって引っ張る。
・肩甲骨を寄せつつ肩を下げ、上体を反らせることで、外肋間筋が上に引っ張られる。
・顎を引きつつ顔を上に向け、上体を反らせることで、胸鎖乳突筋が上に引っ張られる。
・外肋間筋・胸鎖乳突筋が上に引っ張られることで、胸郭の下部が傘状に広がる。
・腰の反折と胸郭下部(肺底部)の拡張によって、横隔膜が引かれて大緊張を起こす。

 息を吸う際は背骨のしなりを上手に使うことで、胸郭の操作が容易になり、吸気の速さや深さを自在にコントロールできます。そのためには背骨を大きくしなやかに反らせますが、頭部を中心とした上半身の重みは中殿筋で支えます。それが更なる腰の弾力、力のタメを生み出し、極めの動作に入る際の反動を生じさせます。

私が注意している点

 胸式で息を吸い込む時は、腹をへこませてしまうと横隔膜が上がり、肩式呼吸になりやすいので、その点を特に注意しています。また、両腕を上げる時は、吸気と同時ではなく、息を吸い切ってから上げます。
 具体的に申しますと、まず、背骨をしならせながら腰に力(弾力)のタメを作り、その反動で一気に腕を跳ね上げる様にします。

 準備動作に関しては以上です。


佐々木:
 「簡易強健術」は別名を『呼吸応用強健術』とも言います。呼吸を活用して鍛錬される型ということです。
 ただし、この鍛錬の呼吸は、鼻から出たり入ったりしている呼気・吸気のことではなく、「呼吸筋群操練による腰腹同量力獲得」のために実践されます。呼吸筋群の拡張・収縮を大きく行えるように動作するためには、初動から完成までの動作の手順をチグハグにならないようにしなければなりません。

 動作の手順を間違いなく出来る!というためには、生理・解剖・力学という鍛錬の科学を理解しておく必要があります。鍛錬は情熱をもって熱烈に継続する!その時間の中には理知的な学びも同じ時間だけあらねば、いつまで経っても法則に触れること能わず、なのです。
 どのような学びも法則を理解することが知った!ということで、人生上での活用自在となります。
 この、人類の文化遺産である丹田形成法の傑作『腰腹同量正中心の鍛錬』の奥に光り輝く真理、または本質、または法則、または目的、特長と言われるところの、完全なる根本的なところからの全体的理解がなければ、『万芸の泉』も『武禅』もアレモコレモ、夢のまた夢に終わるでしょう。

 しかし、継続していれば、健康効果や予防医学効果は十分にあります。
 動作そのことが幾何学的で韻律的リズムに則っておりますから、継続することで何時かはハッ!と、悟ること多少はあります。
 そのためにも!このためにも!型に拘ることなく、気合すなわち腰腹同量力での鍛錬に忠実に学びましょう!


2007年5月17日



spb-0034 at 11:43|Permalinkこの記事をクリップ!

2007年05月10日

「外斜腹筋型」の要諦(初心者のためのQ&A)

 
 
真島:
 今回は簡易強健術型の第四動、「外斜腹筋型」について拙いながらも私見を述べさせていただきます。
 この「外斜腹筋型」は、肥田春充先生が大悟徹底をされるキッカケとなった型ということで、他の型以上に関心をお持ちの方が大勢おられるのではないでしょうか。と言うことで、この型は何回かに分け、解説をさせていただきたいと思います。

「まずは準備姿勢から」

 両脚を出来るだけ大きく(但し無理しない程度に)踏み開きます。両足の角度は90度、もしくはそれより若干広め。
 そして親指に強く力を入れつつ、踵を内側に絞り込みます。すると、地面から反発・上昇する力が生じますので、その力を使って腰を反折させます。腰が反折すると腹(腹直筋)は引き伸ばされて自然に緊張します。

 上半身は頭部を中心にして極めますが、その要諦として頭の重みを腰の上に乗せます。
 顔は真正面を向け、視線は5メートル程先の床に落とします。目を大きく見開き、可能な限り瞬きを少なくします。

 私自身の「姿勢の極め方」ですが、まず、足の親指に力を入れる時は、地面に押し付ける様にしながら力を入れます。
 その親指を支点として呼吸に随って踵を内側に絞り込みますが、木材にネジを押し込む時の様に、親指を地面に対して強く捻り込みます。すると、地面から螺旋状に反発・上昇する力が生じます。その力を腓腸筋〜大腿二頭筋を通して尻まで上昇させ、尻を下から持ち上げる様にすることで、中殿筋の弾力が高まり、腰椎4番・5番の境を折り目として自然に腰が反折します。

 腰の反折とともに恥骨が引かれるので、腹直筋も腰の反折に随って自然に緊張します。
 そこからさらに腰を下腹部に押し込む様にすることで、腹直筋の起始部(下腹部)に益々力が篭もり、腰腹共に力が入ります。

 私自身の体感として、この姿勢、動作の要諦を体得するためには、股関節の柔軟性と可動性が必須だと感じます。

 次に「頭の極め方」
 顔は基本的には真正面を向きますが、額が顎よりやや前に出る様にしています。奥歯を軽く噛み締めることで自然に顎が引け、意図せずともその様な顔の角度になります。すると頭の位置が決まり、頭部を中心とした上半身全体の重みが、背骨を介して腰の上に乗っかります。

 背骨を介して上半身の重みを腰に乗せることで、肩及び肩甲骨が下がり胸部の乳頭部が上を向き、胸郭が縦に広がります。
 背骨を中心に身体の後面に軽く力がかかる様にすることで、逆に身体の前面を伸長させ、胸郭(肋間筋)や腹部(腹直筋・斜腹筋)、それに連なる横隔膜の可動性が大きくなります。
 また、背骨にかかった重みは弾力を生じさせ、動作をする際にしなりと反動を生み出します。上半身の重みを支える腰の力は中殿筋が生み出しますが、その起こりは足の親指です。

 準備姿勢に関しては以上です。


佐々木:
 「斜腹筋型」は簡易強健術型の中核に位置し、春充先生が特に好んで鍛錬された型ということもあって、現在でも多くの学び人が温古されております。
 斜腹筋型は「腰腹同量力」を直接体感しやすい型であることも事実で、やり込んでゆくことで他の型では体験できない充実感が腰腹に生じます。

 ですが、斜腹筋型は動産は簡なれど、奥が底なしの難しさがあります。
 それは「下脚は実」「上脚は虚」「腰腹は実にして実」「上体は虚にして虚」全身の虚実という力の掛かりや、「ドカッ!」と表現されるところの気合による一気呵成の動作などを理解し、体得できていることで、初めて八大要件体現の斜腹筋型が運用できるからです。

 私が初心者の指導にあたるときには、簡易強健術型から斜腹筋型を抜き出して準備動作替わりにもしておりますが、この真意は「強健術という独特な鍛錬である腰腹同量力を一から理解させるのにきわめて適た型!」だからです。
 呼吸・動作・姿勢の三位一体の使い方とか、虚実のこと、さらには吸気の時の姿勢の取り方、呼気の時の加速的動作の生じ方など、初心者が基本として是非とも体得しておかなければならないエッセンスが山盛りです。
 さらに、型が「簡」であることは初心者でも自己観察の要領が飲み込め、観察力のコツを掴みやすいなどがあげられます。

 準備動作として斜腹筋型を抜き出して繰り返す。されど八大要件体現鍛錬では、簡易強健術型の腓腹筋型からやり込みながら斜腹筋型に至ることを忘れてはいけません。
 できるだけ癖に染まらない早い段階で基本を体得する!ことが、結局は八大要件体現を完成するコツであることを知りましょう。


2007年5月10日



spb-0034 at 11:30|Permalinkこの記事をクリップ!
聖中心道肥田式強健術     免許皆伝者 佐々木了雲


(ささきりょううん)

昭和22年8月生

「丹田研究所」主宰

聖中心道肥田式強健術・天真療法伝承師範。道統二代目継承者肥田道夫先生より唯一人全伝終了を証明する認可状と大看板を1991年に拝受。

最新刊『肥田式強健術』(BAB出版刊)と、基本習得ビデオ/DVD全7巻シリーズ(各45分)を主演にて完成。その他、丹田関連の著作多数あり。奉納・公開演武も全国的に展開している。


講座のお問い合わせ・お申し込みは事務局までお寄せください